DOSを全く知らないWindowsユーザのために、MS-DOSプロンプトの使用法を 簡単に説明します。Windows NT/2000/XP ではコマンドプロンプトと名前を変え、 機能もより充実しています。
スタートメニューの中に「MS-DOSプロンプト」というのを 見たことがあると思います。 これまでは何だろうと思っていたかもしれません。 DOSというのはWindows以前にパソコンで使われていたOSです。 「DOSプロンプト」の役目の一つはDOS時代に作られたプログラムを実行することです。 じゃあ今は関係ないのかというとそうではありません。WindowsのDOSプロンプトは、 昔のDOSに拡張が加えられ、長いファイル名が扱えたり、Windowsの プログラムを実行することも可能になっています。
ではためしにDOSプロンプトを起動してみましょう。 起動するにはメニューからDOSプロンプトを選びます。 黒いウィンドウが開きましたか? DOSプロンプトを閉じるには、 右上の「×」を押すか、あるいはキーボードで
exit
と入力しEnterキーを押してください。DOSプロンプトが 全画面表示になっているときは、Alt+Enterを押すとウィンドウ表示に切り替わります。
DOSではフォルダのことをディレクトリといいます。DOSプロンプトを開くと、
C:\WINDOWS>
のように表示されていると思います。 これはカレント・ディレクトリを表しています。 カレント・ディレクトリとはディレクトリの現在位置のことです。 ここでは C: ドライブの WINDOWS フォルダにいることを表しています。 ではキーボードで次のように打ちこんで、Enterキーを押してください。
dir
画面に色々と表示されたと思います。この dir は 「ディレクトリにあるファイルを表示せよ」という命令です。 今表示されたのは C:\WINDOWS にあるファイルの一覧です。 異なるディレクトリのファイル一覧が欲しいときは、例えば
dir c:\
とすれば C:\ にあるファイルが調べられます。 ただしこの一覧にはサブディレクトリ(フォルダ)も含まれています。 C:\ のファイル一覧を見るもう一つ方法が、 カレントディレクトリを変更することです。
cd c:\
と入力してEnterを押してください下さい。cd は カレントディレクトリを変更する命令になります。
C:\>
のように表示が変わったと思います。 ここで dir とだけ打ちこめば C:\ のファイル一覧が得られます。 しかし cd ではドライブの変更はできません。 例えば A: ドライブのフロッピーディスクを読みたいなら、 ディスクの挿入後に、
a:
と入力してEnterを押してください。
A:\>
と表示がかわります。 ためしに dir をしてみましょう。 すると A:\ にあるファイルが表示されます。 元の C: ドライブに戻るには同様に、
C:\>
と入力します。
ファイルが多いと画面に入りきらずに困ってしまいます。 そこで
dir /w
と dir の後ろに /w を加えるととファイル名だけの短い一覧が表示されます。 ただし長いファイル名は longna~1.exe のようになってしまいます。 既に気付いていたかもしれませんが、普通に dir を使ったときも、 例えば次のように表示されていました。
IESETU~1 TXT 86,474 99-12-08 1:28 IE Setup Log.Txt WSCRIPT EXE 139,264 98-06-12 20:01 wscript.exe GSVIEW32 INI 40 99-12-09 17:18 gsview32.ini IE4ERR~1 TXT 791 00-01-28 16:12 IE4 Error Log.txt DRWATS~1 LNK 278 99-12-26 16:50 Drwatson.exeへのショートカット.lnk NSREG DAT 29,317 00-01-30 17:12 nsreg.dat OEWABLOG TXT 2,300 00-01-30 20:01 OEWABLog.txt FIXIEL~1 TXT 17,920 00-01-01 14:56 Fix IE Log.txt
のように先頭には IESETU~1.TXT のような短い形のファイル名、 そして後ろに正しいファイル名が表示されます。 これは古いDOSと互換性を保つためです。DOS時代には ファイル名が「八文字+拡張子三文字」という制限がありました。 しかもアルファベットは大文字しか使えませんでした。 このとき作られたプログラムでもきちんと長いファイル名のファイルが扱えるように、 短いファイル名が自動的につけられているのです。
前にも言いましたが、 他のディレクトリのファイルを調べるのに、 いちいち CD して DIR するのは大変です。そういうときは、
dir c:\
のように dir の後に調べたいディレクトリを指定します。また、
dir /w c:\
で短く表示されます。 ただし途中のディレクトリ名に空白があるときは、
dir "c:\Program Files\Netscape"
のように二重引用符で囲んでください。 これもDOS時代はファイル名に空白が使えなかった名残でしょう。 長い名前が面倒なら、
dir c:\progra~1\Netscape
という風に短い方を使っても構いません。 しかし例えば予め、
C:\>cd c:\progra~1 C:\Program Files>
として Program Files がカレント・ディレクトリであるときに 先ほどのように長々と書くのは無駄です。 そういうときは現在位置からの相対位置で書くことができます。 例えば、
dir Netscape
こうすればカレントディレクトリの下の Netscape ディレクトリの内容が 調べられます。 これは cd でも使えます。
cd Netscape
これで相対指定でカレント・ディレクトリの変更が可能です。
また一つ上の親ディレクトリは二つのピリオドで表します。 例えば C:\Program Files\Netscape にいるとき、
dir ..
とすると C:\Program Files の内容が表示されますし、
cd ..
とすると C:\Program Files に移動できます。 またいつでも、
cd \
と入力すればドライブの最上位(ルート)に移動できます。
また dir で拡張子が .txt のファイルだけを表示したいときは、
dir *.txt
とします。この * 記号はワイルドカードといって、 どんな名前にもマッチします。 拡張子 .exe だけ表示したいなら、
dir *.exe
とします。あるいは、
dir *.*
とすると全てのファイルが表示されます。 これは単に dir とするのと同じです。
今カレントディレクトリに hello.txt というファイルがあったとしましょう。 これを複製するには、
copy hello.txt backup.txt
とします。すると hello.txt と全く同じ内容の backup.txt ができます。 dir で確認してみてください。 やっぱり backup.txt を消したいときは、
del backup.txt
でファイルを消去できます。 しかし del で消したファイルは、 「ごみ箱」には入らないので注意して下さい。 こういったファイルの操作は「エクスプローラ」で行ったほうが安全かも知れません。 del の指定にもワイルドカードが使えます。
del *.txt
でカレント・ディレクトリで拡張子が .txt のファイルを全て消去します。 また、
del *.*
で全てのファイルを消してしまいます。 これはカレント・ディレクトリのファイルだけで、 更にそのサブ・ディレクトリを消すことはありません。
他のディレクトリへのコピーも可能です。
copy hello.txt c:\txt
とすると hello.txt を c:\txt へコピーします。 あるいは
copy *.txt a:\
とするとカレント・ディレクトリの .txt ファイルを全て A: ドライブのルートにコピーします。 コピーではなく移動したいときは、
move *.txt a:\
のように copy のかわりに move を使います。 これら copy や dir の使い方は、
copy /? move /? del /? dir /? cd /?
のように /? をつけて入力してみて下さい。 使用法が画面に表示されます。
拡張子 .exe のファイルは実行可能なプログラムです。 全ての .exe ファイルはDOSプロンプトから実行できます (Windows プログラムも)。 例えば「メモ帳」を起動してみましょう。 カレント・ディレクトリを C:\WINDOWS にして下さい。 ここには NOTEPAD.EXE というファイルがあるはずです。 このディレクトリにはたくさんの .exe ファイルがあるので、
dir /w *.exe
でもはみ出してしまいます。 あるファイルがあるかどうか調べるには、
dir notepad.exe
とすればよいでしょう。 ファイルがあればそのファイル名が表示されますし、 なければ「ファイルが見つかりません」と出ます。 この NOTEPAD.EXE を実行するには単に、
notepad
と入力してEnterを押すだけでOKです。 うまいことメモ帳が開きましたか? 全ての .exe ファイルは この方法で実行できます。ところでタイプミスをしたとき、 「コマンドまたはファイル名が違います」 と表示されたと思います。コマンドというのは dir や copy のことですが、 ファイル名とは NOTEPAD.EXE などの .exe ファイルのことなのです。 メモ帳で config.txt というファイルを開きたいなら、
notepad config.txt
とします。 またどのディレクトリにいても
c:\windows\notepad
とすればメモ帳が起動できます。 また Windows のDOSプロンプトには start コマンドが追加されていて、
start config.txt
とすると config.txt をダブルクリックしたときと一緒のことが可能です。 例えば、
start index.html
で拡張子 .html に関連付けられたブラウザで index.html を開きます。
C:\WINDOWS\COMMAND ディレクトリにはDOS用のプログラムが多数入っています。 例えば edit.exe はDOS版のメモ帳です。 ここには move.exe もあります。 先ほどこれを使いましたが、 どうして c:\windows\command\move としなくても良かったのでしょうか。 これはDOSの検索パスという機能によるものです。 例えば、
edit
と入力すると、DOSはまずそれがコマンドかどうか調べます。 edit というコマンドはないので、 次にカレント・ディレクトリに edit.exe というファイルがないか調べます。 それでも見つからなければ、 検索パスで指定されたディレクトリに edit.exe を探しに行きます。 それでも見つからないときだけ 「コマンドまたはファイル名が違います」と表示されます。 検索パスは、
path
で画面に表示されます。設定にもよりますが、
PATH=C:\WINDOWS;C:\WINDOWS\COMMAND
のように表示されると思います。 これは検索パスに登録されているディレクトリが ; で区切って表されています。 ですから edit.exe がカレントディレクトリになければ、 まず C:\WINDOWS にあるかどうか調べられ、 更に C:\WINDOWS\COMMAND が調べられます。 検索パスを設定するには、
path c:\windows;c:\windows\command;c:\bin
のようにします。
DOSで実行可能なファイルには .exe があります。 ほかに拡張子が .bat のバッチファイルの実行できます。 バッチファイルというのは決まりきった手順をまとめて書いたファイルで、 単なるテキストファイルです。 バッチファイルは .exe のプログラムほど色々なことはできませんが、 簡単に作れるのがメリットです。 ではバッチファイルを作ってみましょう。 まず適当なディレクトリに移動して下さい。
cd \usr
でバッチファイルを作ります。 テキストエディターなら何でもOKですが、 とりあえずメモ帳で作りましょう。 ファイル名はとりあえず test.bat とします。
notepad test.bat
次にメモ帳で次の一行を書きます。
dir /w c:\
で保存して下さい。 ためしにこれを実行してみましょう。DOSプロンプトで次のように打ちこむと……
test
C:\ のファイル一覧が表示されましたか? バッチファイルは そこに書かれた内容を一行ごとに順に実行して行きます。 これはなかなか便利です。 例えば C:\usr のファイルを A:\ にバックアップしたいなら、
rem バックアップ copy c:\usr\*.* a:\
というバッチファイルを作っておけば、いつでもこれを実行すればコピーされます。 ちなみに rem で始まる行はコメントで、これは無視されます。 また、c:\usr\*.* というのは c:\usr にあるファイル全部という意味です。 バッチファイルばっかりのディレクトリ c:\bat を作って、 そこに検索パスを通すのも便利でいいでしょう。
path c:\windows;c:\windows\command;c:\bat
じゃあこの検索パスを設定するバッチファイルを作って……なんとなく 無駄な感じです。 検索パスのようにいつでも設定しておきたいことは、 パソコン起動時に自動的に実行してくれる AUTOEXEC.BAT というファイルを 利用します。 まあ「スタートアップ」みたいなもんです。 AUTOEXEC.BAT はルートに作ります。 既にあるかもしれませんが、 あればそれをオープン、なければ新たに作りましょう。
notepad C:\AUTOEXEC.BAT
ここに検索パスの設定を書き加えましょう。
path c:\windows;c:\windows\command;c:\bat
こんな感じ。 既に AUTOEXEC.BAT があった人で、 PATH がどうたらと初めから書いてあった人は、 その後ろに書き足せばいいでしょう。
path c:\windows;c:\windows\command;c:\xxx
こうなっていれば、
path c:\windows;c:\windows\command;c:\xxx;c:\usr
のようにします。
DOSには cd や copy 以外にもたくさんのコマンドがあります。 その中でも比較的よく使うものを紹介します。 これらは全て /? をつけて実行すると、簡単な説明が表示されます。
ファイル名を変更します。
rename old_name.txt new_name.txt
WindowsのDOSプロンプトでは、 このコマンドでディレクトリ名の変更も可能になりました(昔のDOSは無理でした。 ディレクトリ名のときは rendir という別のコマンドがありました)。
mkdir は新たにディレクトリ(フォルダ)を作成します。 例えば usr という名前のフォルダを作りたいなら、
mkdir usr
でOKです。 これはエクスプローラなんかより早くて便利です。 逆にディレクトリを消すのが rmdir です。
rmdir usr
でもディレクトリの中が空でないと使えません。 というのもDOSで消すと「ごみ箱」に入らないので、 間違って一気に消えてしまうと大変だからです。
type はテキストファイルの内容を表示します。 テキストファイルしか見れないし、 大きいファイルだと画面に入りきらずに後ろのほうしか読めません。
type c:\autoexec.bat
まあちょこっとファイルを見たいときには便利かもしれません。 type のかわりに more を使えば、 画面が一ページごとに止まります。
more readme.txt
これも後戻りができないのであまり使い勝手がよくありません。 しかし more の便利なところは、他のコマンドと組み合わせて使えることです。 例えば、
dir
が長すぎて読めないときは、
dir | more
のようにすると dir の表示が一ページごとに止まります。
DOSプロンプトの画面をきれいにします。
cls
ただそれだけです。
time は現在の時間を表示と変更ができます。
time
すると次のように表示されます。
現在の時刻は 21:35:22.70 時刻を入力してください:
ここで何も入力せずに Enter すれば、 時間は変更されません。 でもWindowsならタスクバーにいつでも時間が表示されているので、 これを使うことはないでしょう。 日付を表示する date も同じように使えます。
date
日時を変更したいときはタスクバーよりちょっとだけ速いかも…
copy の拡張版です。 サブディレクトリも含めてコピーします。
xcopy /e c:\usr a:\
コマンドではありませんが、DOSを使ってて 良く使用するのが CTRL+C (コントロールキーを押しながら C キー)です。 入力を間違ったときや、プログラムの途中で終了したときには、 とりあえず CTRL-C をしましょう。 これが効かないときもあります。
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2000/02/02初出
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