創作田園地帯 | 和声学

結尾

一通り機能和声について解説してきた訳だが、 当初の予定では更に多くの作曲技巧に付いて述べるつもりだった。 しかし私の時間的な都合と執筆への意欲に限界が生じてきた。 また表現に関する技巧、更に進んだ動機の展開など、 これらを和声学の範疇に含めてしまうのは強引に過ぎると思う。

そこで和声学としてはここで一旦、完成ということにして、 これ以上の加筆を行わないことにした。

そもそも音楽の知識とは一つの真理を求めるのではなく、 より総体的かつ複合的な知識と技術の集まりである。 基礎的な体系、即ち総論を学んだ後は各論に取り掛かる必要がある。 次にどのような各論を持ってくるかは音楽家の個性であり、 それをどう解釈し利用するかも自由である。 しかし自ら筆を取って音符を並べることを忘れてはならなし、 自らの耳で響きを確認することも忘れてはならない。 目の前には楽聖らの作品が道しるべとなって待ちかまえているのである。

願わくは本書が音楽の、そして人生の糧に少しでもなることができれば、幸いである。

平成14年8月20日

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制作/創作田園地帯  2002/08/20初出
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